ファイナンシャルプランナー試験は何級をとるべき?FP3級と2級を比較してみた
[PR]この記事は広告コンテンツを含みます。
FP資格を学習する最大のメリットは、日常生活で必要なお金に関する知識を体系的に習得でき、日常生活や仕事にも役に立つ実践的な資格であることです。
国家資格のFP技能検定試験(以下、FP試験)には1級から3級まであり、レベルに応じて受検することができます。3級は入門的な資格なので基本的な事柄は知ることはできますが、実生活や仕事にFPの知識を活かしたいという場合には、より実践的な2級以上の資格を取得することを目標として、一般的には3級または2級から学習を始めることになります。
そこで、この記事では、
- FP資格は何級をとればいいのか
- 何級から受検すればいいのか
を判断するうえで役に立つ情報を、弊社が実施した合格者へのアンケートの内容も含めて、紹介していきます。
1.FP3級とFP2級の試験概要の比較
FP試験は、NPО法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(以下、日本FP協会)と一般社団法人金融財政事情研究会(以下、きんざい)の複数機関によって、年3回(1月、5月、9月)実施されています。FP試験には学科試験と実技試験があり、「学科」試験は3級と2級は同一の試験問題ですが、「実技」試験は試験実施機関によって出題形式や試験問題が異なっています。
それでは、まずFP3級とFP2級の試験概要についての比較から見ていくことにしましょう。
1-1.受検資格
FP試験は時間が勿体ないからいきなり2級から受験を…というわけにはいきません!
3級には受検資格はありませんので、だれでも受検することができますが、2級には受検資格が設けられており、一定程度のFPの知識または経験が必要とされています。具体的には、下記のいずれかに該当しなければならないとされています。
1-2.難易度の違い
試験内容の違いを見る前にFP3級と2級の難易度の違いをみてみましょう。
きんざいが実施する実技試験は試験科目が専門分野に分かれていて日本FP協会の試験よりも難易度が高くなっています。理由は日本FP協会の問題文は比較的シンプルな構成になっていますが、きんざいはやや複雑できちんと理解していないと解けません。しっかり学習・理解していれば両者に難易度の差はさほど大きなものはありませんが、確率論の安心材料を求めるならば、経験も知識もなく初めて学習する人でも取り組める日本FP協会の試験を受けることをおすすめします。
FP2級は3級と比べ、難易度が倍変わります。必要勉強時間も
FP3級 | 80~150時間 |
FP2級 | 150〜300時間 |
と比例して変わります。
1-3.試験形式の違い
スピードが求められるFP協会に対し、きんざいの実技は事例形式の読解問題です。
試験時間は3級と2級とも120分ですが、出題形式が3級と2級で異なっており、3級は「○×式」30問と「三答択一式」30問の合計60問に対して、2級は「四答択一式」の60問となっています。
そして、合格基準は3級と2級とも60点満点で36点以上となっています。
1-4.学科試験の違い
試験科目は、3級と2級とも、ライフプラニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継の6科目です。
1-5.実技試験の違い
日本FP協会の実技試験では、試験科目は、3級と2級とも資産設計提案業務のみです。また、試験時間は3級が60分で2級が90分で、出題形式も、3級は「三答択一式」の20問に対して、2級は「記述式」の40問と異なっています。そして、合格基準は、3級と2級とも100点満点で60点以上となっています。
きんざいの実技試験では、試験科目は、3級は個人資産相談業務と保険顧客資産相談業務から、2級は個人資産相談業務、中小事業主資産相談業務、生保顧客資産相談業務、損保顧客資産相談業務から選択することになっています。試験時間は3級が60分で2級が90分で、出題形式も、3級は「三答択一式」の事例5題に対して、2級は「記述式」の事例5題と異なっています。そして、合格基準は、3級と2級とも50点満点で30点以上となっています。
なお、近年の合格率は、3級は日本FP協会が80%以上、きんざいが60%前後、2級は日本FP協会が60%前後、きんざいが40%前後となっています。
実技の違い | 日本FP協会 | きんざい |
FP2級 | 資産設計提案業務 | ・個人資産相談業務 ・中小事業主資産相談業務 ・生保顧客資産相談業務 ・損保顧客資産相談業務 (いずれか1つを選択) |
FP3級 | 資産設計提案業務 | ・個人資産相談業務 ・保険顧客資産相談業務 (いずれか1つを選択) |
1-6.学習時間の目安と学習方法
学科・実技試験に同時に合格するための学習時間の目安としては、一般的に、
FP3級 | 80~150時間 |
FP2級 | 150〜300時間 |
と言われています。FP知識がある人が3級だとおよそ80時間、知識がない人が勉強すると150時間要すると捉えてください。
1-7. 結局、FP3級とFP2級の違いは?
3級と2級では、出題形式などの違いはありますが、共通する点も多くあります。
まず、3級と2級は学習範囲としてはほぼ同じです。そして、合格基準は学科試験・実技試験ともに6割以上正解すれば合格できる絶対評価ですから、それぞれの級で必要とされる基本的な知識を確実に習得することによって、自力で合格することができます。また、当たり前ですが2級は3級と比べると難しくなってはいますが、それでも合格率は3級と2級ともに他の国家試験と比べるとかなり高く、いずれも取得しやすい資格といえます。
そこで、3級と2級の違いとしては、次のように認識しておけばよいでしょう。
3級には受験資格は必要なく、FPの入門レベルの資格として、主に基本知識を「正しく知っているか」を択一式(学科と実技)によって確認される試験です。これに対して、2級には一定の受験資格が必要とされ、FPの基本レベルの資格として、主として基本知識を「正しく理解できているか」を択一式(学科)と記述式(実技)で確認される試験です。
2. FP3級から受けるメリットとデメリット
FP3級はFPの入門レベルの資格と位置づけられますので、FP3級から受検するメリットもありますが、一方でデメリットもあります。
2-1. FP3級から受けるメリット
まず、メリットとしては、次のようなことがあげられます。
3級には受験資格は必要ありませんので、金融機関などに勤務した経験がない人や初めて学習する人も普通に合格することができます。アンケートでも、合格者のうち学習を始める前にはFPの知識がまったくなかった人が約6割を占めています
3級の内容をしっかり学習することによって、知識の基礎ができ、自信がつきます。アンケートでも、「勉強すれば確実に取得できる資格だからとの言葉を信じて勉強したら、合格できた」との回答もあります
3級の知識を身につけることで、日常生活のお金にかかわる仕組みが理解できるようになり、興味がわいてきます。アンケートでも、「ニュースの保険や年金、税金などの内容がよくわかるようになった」などの回答があります
2-2. FP3級から受けるデメリット
一方で、次のようなデメリットがあります。
2級を目標にしている場合には、通常は2級を取得するまでに余分に時間がかかります
3級で学習した内容は初歩的な知識ですから、そのまま仕事などに役に立つということは期待できません。アンケートでも、「専門的な知識を身につけるのであれば2級から受けても良かった」などの回答があります
3. FP2級から受けるメリットとデメリット
FPの試験は一定の受検資格があれば2級からでも受検することができますので、FP2級から受検するメリットもありますが、一方でデメリットもあります。
3-1. FP2級から受けるメリット
まず、メリットとしては、次のようなことがあげられます。
3級を受検しないことで、2級を取得するまでの学習期間を短縮することができます
2級の知識を身につけることで、日常生活での悩みや問題を解決することができるようになり、学習の効果を実感することができます。アンケートでも、「保険の見直しができた」「家計管理ができるようになった」などの回答があります
2-2. FP2級から受けるデメリット
一方で、次のようなデメリットがあります。
2級の内容には、日常生活ではあまりかかわりがないような税務などの専門知識も含まれていますので、いきなり2級から学習すると途中で挫折してしまうこともあります
4. 結局、どちらを受ければいいの?
このように、FP3級からの受検にも、FP2級からの受検にも、それぞれメリットとデメリットがありますので、どちらを受検すればいいのか迷ってしまう人もいるでしょう。
4-1. FP3級を受けるべき人
FP2級の受検資格がない人はもちろんですが、実務経験もなく初めて学習する人も、FP3級の受検をおすすめします。これによって、FPの知識を基礎からじっくり学習でき、日常生活でのお金にかかわる仕組みがおおよそわかるようになります。2級合格者のアンケートでも、「日常生活の知識であれば3級レベルでも良いかもしれない」との回答もあります。また、継続的に学習する習慣や資格取得のための学習の進め方なども身につけることができます。 そして、合格した後は、FPの知識をさらに実生活や仕事にも活用したいという目標があれば、2級以上の上位資格の取得にむけて学習を継続していくのがよいでしょう。あるいは、違った分野の学習をして知識を拡げていきたいということであれば、他の資格(簿記など)の学習に取りかかるのもよいでしょう。
4-2. FP2級を受けるべき人
FP2級の受検資格があり、FPの資格を取得してはやく仕事などに役立てる必要がある人は、FP2級の受検をおすすめします。これによって、まずはFPの基本的な知識を習得することができます。 そして、合格した後は、専門分野を確立するために、さらに上位のFP1級を取得する、あるいは、FPの内容は多岐にわたっているため、それに関連する別の資格(社会保険労務士、宅地建物取引士、行政書士、税理士など)を取得するなど、ステップアップを図っていくのがよいでしょう。アンケートでも、「2級までだとそれほど専門的な知識を身につけることはできないのですぐに仕事には役立たない」、「独立するには上位級を目指すか他の資格を取得するなどしないと厳しい」などの回答があります。
4-3. 両方受けるなら、どちらからやるべき?
2級と3級の年3回の試験は同じ試験日の同じ時間帯に行われますので、両方を同時に受検することはできません。そこで、両方を受検する場合、受ける順序は3級をうけて2級を受けるのが一般的です。3級で先に全体像を把握してから、2級の学習をすると体系的に理解できます。アンケートでも、2級合格者のうち約7割の人が3級を取得してから2級を取得しています。
そして、3級から受検する場合でも、2級の受検を見据えて、学習計画を立てることをおすすめします。FP試験は年に3回ありますが、それぞれ定められた法令基準日に基づいて問題が出題されることになっており、1月試験と5月試験は前年の10月1日が法令基準日で、9月試験は同年の4月1日が法令基準日です。そこで、1月試験と5月試験は同じ法令で対応できますので、1月に3級を受けて、続けて5月にすぐに2級を受けると、知識の抜け落ちもほとんどなく効率的です。
また、学習方法についても工夫することができます。3級と2級の試験の内容をみると、3級は主として基本知識を正しく知っているか、2級は主として基本知識を正しく理解できているかを確認される試験で、同じような基本知識に対する問われ方が異なっているだけです。したがって、はじめから2級の試験に照準を合わせておいて、たとえば、3級を学習するときから、基本知識を「理解」することを目的にして、テキストは2級向けのものを使用し、過去問は3級と2級それぞれのものを使用して学習するのもひとつの方法です。
まとめ
FP資格の学習で、お金に関する教養を身につけることができますので、その知識をさまざまな目的のために活かすことができます。アンケートでも、「FPの知識は知っておいて損はない」という内容の回答がたくさんあります。
FPの学習は3級でもしっかり取り組めば基本的な知識を習得することができますが、せっかく学習するならできれば2級を取得したいものです。それには、3級から学習を始めても、決して遠回りにはなりません。なぜなら、3級と2級は同じ試験科目で、3級は主として基本知識を正しく知っているか、2級は主として基本知識を正しく理解できているかを確認される試験だからです。そのため、2級も取得することにして、3級の学習を始めるときから2級の試験に照準をあわせた学習をしていくことで効率的に知識を習得することができます。
そして、実際の3級と2級の違いは、それぞれの過去問に目を通してみるとよくわかります。そうすれば、3級と2級とで、求められる基本知識の「量(範囲)」にはそれほど大きな違いはなく、「質(深さ)」が異なっているにすぎないと実感でき、そのうえでしっかりと目標を定めて学習に取り組むことができるでしょう。